トラウマからの解放

母子関係が閉塞的で、子供時代に安定した愛着関係を得られずに苦しんでいても、周囲から介入するものがあれば、この時期の子どもは、すぐにそれを取り込んで、良質のニットを編みだす能力を獲得できる。


学校や教育の場で、子どもが尊敬でき、自分の能力を惜しまず分け与えてやれるような人に出会えれば、子どもはそこから安定した愛着を出発させられる。


子どもの発達と復元力の獲得は、母親の問題ではなく、政府や自治体といった公共制度の問題である。(Boris Cyrulnik ” 壊れない子どもの心の育て方”)


”早期に周囲から介入するものがあれば” がキーポイントです。


大抵、家族という枠の中で、子どもはそこから逃げることが出来ないまま、大人になるまで何とか生き延びる方法を身につける。


そのエネルギーは最大限です。


最近、躾と称して、勉強しない我が子に対してひどい仕打ちを行い、子どもが死に至る事件がニュースで見られる。


これは、ほんの氷山の一角である。


死まで至らずとも、同じ状況の中で苦しむ子供は、何と多いことか。


そういう子供は、嘘をついたり、物を盗んだり、大人をうまくコントロールするような行動を見せて、学校や社会でも疎まれる存在になりやすい。


あるいは、行動化を自分に向けて、自傷や引きこもってしまう場合もある。


あるいは、何もないかのように、外でニコニコ笑顔を見せて元気に振舞う場合もある。


子どもは必死に毎日を生きる。


そして、誰にも気づいてもらえずに大人になってしまった場合、様々な症状に苦しまされることになる。


ある刑務所で出会った青年は、愛を求め、大人に甘えたい子猫を思い出させるような繊細な人だった。


カウンセリングの初めは、大人に噛みつくような態度で、誰も信じないぞという雰囲気を醸し出して、斜めに座って目を合わせようともしない。


何回か会うようになると、その青年はとても物知りで、「そんなことも知らないの」と言いながら説明してくれるようになった。


「僕は良い子なんだよ」というメッセージを送りながら、行動も変化してきた。しかし、出所が近づくと、また独りぼっちになるのが怖くなったのか、自傷行為をおこしおびえた子猫のようになっていた。


この青年が、母のことを話すとき、「僕が覚えているのは、自分を見る鬼のような顔」と、無表情で語る。


この青年が、泣きながらこの話が出来るのには、まだまだ時間が必要だが、彼には自分を取り戻すことができる力が満ちている。それには、その力を発揮できるような愛情が必要なだけである。


愛情によって癒せない傷はないのである。


(以下、精神科医 斉藤学の言葉)

トラウマはもはや過去となったストレスの記憶の中から生じるのだが、その治療に欠かせないのはトラウマの消去ではない。トラウマとなった事件について、その時の苦悩と負担を他者に語ることこそ治療的営みになる。言葉は人という動物が他者に係る時の道具である。過去を言葉にする時、人は過去を新たに創造している。その時人はその体験に意味を見出しているのであって、その人はもはや悲惨な過去の奴隷ではない。


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