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奇跡は起こる

中国から10年ぶりに私の家まで訪問してくれた男性の話です。


彼は当時日本で飲食業についており、身体を粉にして働いていた真面目で人の良い人です。


彼との出会いは、私の知り合いが精神的な問題を抱えていて不安定な状態でしたが、彼と出会って結婚をすることになり、私に紹介したことから始まりました。


一目見て、なんて良い人なんだろうと感じました。直感です。


知り合いが、彼と結婚することで幸せになってくれる事を心から祈りました。

しかし、同時に、彼は大丈夫かなと心配も頭をよぎりました。


良い人だけに、これから彼女が不安定になった時に、その渦に巻き込まれてしまうのではないか〜と。


思った通り、新婚の幸せの期間を過ぎると、彼は彼女の不安に巻き込まれて、仕事を変えさせられたり、不安定な状態に一生懸命対応しようと頑張っていましたが、彼女からの酷い罵声を浴びたり、家に帰るのが怖くなる状態にもなっていました。

彼は外国人ですから、彼女に見放されたら、滞在ビザは切れますし、彼女に支配された状態です。


彼女が起き上がれないので、病院に薬をもらいに行ったり、出来ることはやっていたそうです。


日本より中国の方がリラックスできる環境だと、中国に住むことも勧めていました。


そうこうしているうちに、今度は妊娠が発覚しました。私は連絡を受けて、大いに喜び、これで益々

彼女も家族を持てる喜びに満たされるであろうと思っていました。


しかし、その頃から時々連絡が入り、不安でたまらない、子供が欲しくない、、、などと訴えるように

なりました。その時に私は、やはり思った通りになってしまったと理解しました。


彼女の心の問題は深く、私は知人ですから彼女をカウンセリングはしませんが、カウンセリングを受けることを勧めていました。しかし彼女は、自分と向き合う気はなく、ただ嘆いて、全て中国人の配偶者が悪いと他罰的になっていました。


全ては彼女の思った通りに、マイナスの方向に進んでいきました。


そして遂には、彼と彼の荷物を家から放り出し、離婚を決めて、警察まで呼び、彼はお金もない状態で1人放浪することになったのです。


これらの事情は、今日知ったのですが、彼女からの連絡では、彼を罪人扱いにする発言が増えて他罰的になっていたので、この状態が想像できました。


彼は、すでにうつ状態で、彼女ではなく、自分を責め続けていました。

彼にはどこも悪いところはなかったのですが、、、


その彼が最後のSOSを私に送ってきたのです。


彼の男としてのプライドも全てかなぐり捨てて、「今公園で寝ています。どうすればいいでしょうか」

私はすぐに警察へ行き、ビザが切れていることを報告しなさいと伝えました。そして入国管理局の滞在場所に送られました。強制送還されれば良いのですが、直ぐに帰国できず、順番待ちで何ヶ月そこに釘付けになるかわからない状態でした。中国までの片道切符代金さえあれば、すぐに帰国できると分かり、私はその代金をすぐに送り、彼は帰還しました。


記憶では無事着いたとだけ連絡がありました。


それから10年が経ったとは、、、


あの時、彼は深いうつ状態だったので、とても心配でした。帰国しても立ち上がれただろうか。どうやって生活しているのだろうか、、、時々思い出しては、「連絡がないのは元気な証拠ね」と夫と話していました。


そして突然ですが、彼から「今日本に着いたばかりです。お時間ありますか?」と連絡が入ったのです。元気だったんだ、良かった!


また、今結構忙しい私ですが、偶然にも、彼が会いに来れる日が私のおやすみの日でした。


10年経った彼は、たくましく、中国でレストランを経営して大成功しています。

しかも彼の作る料理は、特別で、美しく、美味しく創作的なものです。


彼から一言も彼女の悪い話は出ませんでした。


それどころか、人生は色々なことがありますね。でも大事なことは、今楽しい暮らしをしていますか、そして自分のやりたいことをしていますか、また健康ですか、、、と語っていました。


彼と出会った頃は、お弁当屋さんで真面目に一生懸命働いて幸せそうな人でした。


それがどんなに素晴らしいことか、彼も今再確認しているのです。


私は、彼と再会できて、本当に神様に感謝しました。

こんな気持ちの良い人と出会えて幸せですし、私たち夫婦の思いが遠く中国に届いていたと思うと涙が溢れる感覚でした。


そして、彼は10年間、私が彼宛に入国管理局に送った手紙を大事に財布に入れて、今でも持っていてくれました。その心の想いはお金には変えられない貴重なものです。


彼は、自分の感謝を10年かかったけど伝えに来たと言っておりました。そして飛行機代金と気持ちをプラスして、私に手渡したのです。その時、彼の表情は満足に溢れていました。


私も有り難くて幸せな1日でした。


全ては偶然ではなく必然です。


彼と再会できたことも、その日も決められていたのでしょう。


感謝



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