思考は嘘つき、身体は正直
トラウマを受けた人は、その傷があまりに辛くて、特に幼少期に日常的に受けたトラウマは、それにあがなうことは恐怖で、自分自身の意思を抑圧して、従うことで必死に生き抜く方法を見出す。
つまり自分らしく生きることを放棄するのである。
神経系生物学的に言い換えると、トラウマ記憶として脳の奥に冷凍保存をするようなもので、脳とそれ自体を保護する(そして私たちを保護する)ために脳が無意識で行う作業で、トラウマ体験を乗り越えるため、そうしなければ生き残れないと感じた脳がとっさに取る対処法なのです。
しかし、この結果、しばしば逆効果としてネガティブな症状となって現れます。
さまざまなきっかけで活性化されるトラウマとなり、 感情的および身体的バランスに悪影響を及ぼします。
突然、昔のことが思い起こされて恐怖を感じたり、大声で何か言われて動けなくなってしまったり、頭が真っ白になってしまったり、自分で自分をコントロールできない怖さを感じます。
また、自分がおかしくなってしまったのではと感じるでしょう。
恐怖などネガティブな感情を感じないように、身体が全ての感覚を感じにくいようにシャットダウンしてしまうことは多くあります。
当然感情も感じられなくなります。
感情を失ったのではなく、感覚を遮断すると、感情も身体と同じ反応を起こします。
外界とのつながりから切り離された感覚を覚えるでしょう。
脳の新皮質の部分は、思考、判断、知性などを司る場所ですが、トラウマは新皮質下のさらに脳の深い部分に記憶されています。
ですから、トラウマの解放には、言葉の作業だけでは進まないことがわかっています。
つまり、身体や感情にアプローチする方法がとても大事なのです。
現代では、クライエントさんの神経系に委ねて進めていく心理療法も取り入れられております。
様々なアプローチがありますが、クライエントさんご本人が安心して、自然体でご自身の深い記憶の部分の活性化を眺められるように、カウンセラーは、努力を惜しみません。
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