斎藤学先生の講演
久しぶりに、斎藤先生の講演を聴いた。
いつ聴いても、先生の博学知識には驚かされる。
今日は、「宗教とその2世の問題について」であったが、なんと人類の起源から始まり、人がどのように誕生し、社会を作り上げてきたかという話から始まった。
どれだけ本を読み、研究されているのであろうか。
こういう方がカウンセリングすると、クライエントさんを中心に、その世界が宇宙まで広がっていくのであろう。
初めて斎藤先生を知ったのは、日本にアメリカでも名高い臨床心理学部大学院を取り込もうという講演を聞きに行った時だった。
全く先生の存在を知らなかった私は、斎藤先生と西尾先生のやりとりを聴いていて、ワクワク感が止まらなかった。
精神世界、カウンセリングという世界がいよいよ日本にも開かれるのだと感じ取れた。
精神科医でありながら、つまり医師でありながら、医師の枠を大きく超えたものの考え方、破天荒なものいいがなんとも心地よかった。
日本という、医師会という閉ざされた考え方の中には存在しない人だった。
その行動は、日本にAC(アダルトチルドレン)という言葉を紹介し、虐待やDVの有り様を表面化し、苦しい思いをするクライエントさんのケースを取り上げながら、多くの本の出版で、一般の読者に分かりやすい形で紹介されてきた。
毒親、おっぱい男、、、など、その表現力はわかりやすく、心に入る。
また、自助グループを立ち上げて、今では当たり前のように、引きこもり、虐待、AC、摂食などの自助グループが普及している。
80代を迎えられた先生は、現代の若者たちの音楽や文化に学び、決して昔語だけでは終わらない。
常に先を見て読んでいる。
かなり前から、結婚形態は崩れていくとおっしゃっていたが、現にその傾向は日本にも現れている。
他国では、同性の届けが認められている国もあるし、婚外子の数は増加し、極小なのは日本と韓国という点にも、どれだけ日本という国が社会の規則にがんじがらめにされているか現れている。
日本の学校教育に関しても、このままでは子供が本来持つ発想豊かな柔軟性が崩されていってしまうような危機感を私は
感じているが、斎藤先生も個人的には、学校破壊を予測されているようだ。
斎藤先生は精神科医であるが、「僕はカウンセラーだ」ともおっしゃる。
精神分析をはじめ、様々な現代の新しい心理療法すべてを把握されているが、自分はそういう技術を使わないとおっしゃる。
「僕は、クライエントさんを目の前に、その人の物語に興味を持って、その人の語りを共に聴いて、そのことに自分も影響されながら、そこにいるのだ。時には、話の中に自然に技法が取り込まれているであろうが、意識しているわけではない。そして、いつの間にか、クライエントさんと、ああいうこともあったよねと語る時、その方に新しい物語ができているのだ。」と語る。
今最も大事なことは、彼らの安全な語り場を提供すること、そして、語らずもそこにいられる場でもあることと説明された。
実は私も、個人の臨床以外にそういう場を作るにはと、最近よく頭をよぎっていたので、先生の言葉が心に残った。
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