トラウマ
トラウマ(trauma)とは、英語で Psychological trauma、日本語では、「心的外傷」と言います。外的・内的要因による肉体的、精神的な衝撃を受けた事で、長い間それにとらわれてしまう状態です。トラウマに関する研究は、ベトナム戦争の帰還兵が、戦場で負ったショックから様々な症状を見せることから、再び研究が進みました。後に、戦争や災害、交通事故などのような特殊な環境に起こるものではなく、普通の家族内においても、子供たちが長期にわたり、親をはじめとした大人たちから受ける様々な形の児童虐待や性暴力がトラウマとなることが分かってきました。戦争や災害など1度に大きな衝撃を経験するトラウマと違って、長期に渡ってジワジワと刻み込まれたトラウマを、ジュディス・ハーマンは、「複雑性トラウマ」(complex trauma)と呼んで区別するようになりました。心的外傷によって様々な症状を呈するようになります。この事を、
PTSD ( Post Traumatic Stress Disorder )、「心的外傷後ストレス障害」と呼びます。ちなみに、トラウマを負って、1ヶ月以上症状が持続する場合はPTSD、1ヶ月以内の場合はASD (Acute Stress Disorder)、日本語で「急性ストレス障害」と診断されます。(DSM5による診断基準)
●辛い体験を思い出してしまう
トラウマとなった出来事に関する不快で苦痛な記憶が突然蘇る。悪夢として反復する。思い出した時に、気持ちが動揺してパニック状態になり呼吸が早く浅くなる、身体生理的反応(動悸や発汗)を伴います。
●眠れない、過剰な警戒心
睡眠障害、イライラ感、集中困難、過剰な警戒心、ちょっとした物音などでビクッとするような過剰反応が出る。
●感情が感じられなくなった
出来事に対して、考えたり話したりする事を避け、思い出させる状況などを回避する。興味や関心が乏しくなり、周囲との疎外感や孤立感を感じる。自然な感情が麻痺したように感じられる。