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親子間の共依存

本日は、アルコール依存症をはじめ、多くの嗜癖問題が家族の機能不全に関与されていることを解き明かした斉藤学精神科医の名言集の中から、「親子の共依存」についてご紹介させていただきます。現代の普通の親子関係の中に見え隠れする問題です。


以下~斉藤学の名言集より抜粋~


子どもというものは、親の輝く顔を見たい一心で生きています。


そんなふうには見えない子供でもそうであることは、自分の子供時代を思い出せばわかるはずなのに、親という役割に囚われた人は、この事を忘れてしまっています。


だから、「親の期待で子供を縛る」という「見えない暴力」に気づかない親が世の中にこんなにもあふれているのでしょう。


そのうえ、現代の親の期待なるものは、皆一定の方向を向いています。

どの親も一律に「良い成績」「名の知れた学校」を望むから、子どもの方も一律に成績亡者、受験の鬼になって過酷な競争が始まります。


競争となれば、勝者も敗者もいるわけで、中にはどんなに頑張っても親の期待に添えない気の毒な子供も出てきます。


そんな時に、「これ以上どう頑張れっていうんだ!」と親に罵声を浴びせ、夜食のラーメンを親の頭にぶちまけるような子どもであれば、まだ救われます。

頭にかかった熱いラーメンは、「見えない暴力」という虐待を繰り返してきた親にショックを与え、ここから自然の理にかなった親子関係が始まるかもしれません。


残念なのは、この期に及んでなお、親の「虐待」に逆らえない子が圧倒的に多いという事です。そして、そうした子供が、「素直な良い子」と呼ばれ、こうした「見えない暴力」に充ちた親子の関係が「健全な親子関係」と呼ばれているから大笑いです。


健全な母たちは、子どもに献身することによって、子ども達を追い詰めます。この種の献身は「共依存」と呼ばれるもので、「親密性」と呼ばれるものと、とても似た外見をしています。


共依存者は、他人の感情と自分の感情とをはっきり区別することが出来ないという、自己中心性の病理を抱えています。


共依存者は、周囲の情緒的雰囲気に呑み込まれて暮らしています。相手の沈黙や不機嫌そうな表情は、共依存者を不安にさせます。


「私が相手に何か不本意な事をしたのではないか、そもそも私に欠陥があるのではないか」と思うからです。


愛するものが自分以外に目を向けたり、自分が望むことに背を向けると、もう自分を大事にしてくれないかのように感じてしまい、支配意欲を強めます。


こうして最も身近な場所にいる子どもという他者を意のままに操ろうとするのです。

親に愛されることだけを願う子供が、この暴力から逃れることは、至難の業です。


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